新型220系クラウンパトカーの詳細

新型220系クラウンパトカーの詳細

2021年10月25日 

2021年7月2日記事掲載

2021年9月21日写真追加

令和4年度のパトカー情報はこちら

序論

仕様書比較

トランク容量問題

製作図面承認申請書

諸元表

外観

性能

220系クラウンパトカーの値段

まめ知識

資料

ギャラリー

序論

クラウンパトカーは、マイナーチェンジをしたモデルしか使用しないという流れが以前からあり、その理由はモデルとして成熟しているからと言われています。例えば、モデルチェンジをしたばかりの車両だとリコールが付き物で、その内容によっては車両がリコール改修まで使用できないという事態にもなりかねません。

クラウンは2年周期でモデルチェンジとマイナーチェンジを繰り返しており、令和2年11月にマイナーチェンジがされましたが、令和2年度のクラウンパトカーには間に合わずその年度は210系クラウンパトカーが納入されました。

210系クラウンパトカーの詳細はこちら

今年度のクラウンパトカーが注目されるのは、マイナーチェンジをして初めて迎える年なのです。それと併せて、現行の220系クラウンはハイブリッドが主流で、ついにパトカーもハイブリッドか?ということで注目されています。

市販車の排気量等

排気量 最高出力 (kW) 駆動方式
2.0L ターボガソリン車 180 後輪駆動
2.5L ハイブリッド車 135 後輪駆動
2.5L ハイブリッド車 135 フルタイム4WD
3.5L ハイブリッド車 220 後輪駆動

細かいバリエーションはともかく、ハイブリッド車が主流で、仕様書もそれを意識してか改定がされました。

無線警ら車2WDの新旧仕様書比較

平 成31年1月7日改定 排気量 は、2,500cc級以上であること。
令和2 年12月14日改定 排気量は、2,500cc級以上であること。ただし、排気量が2,000㏄級以上2,500㏄未満のものにあっては、最高出力135kW以上であること。

但し書きで「排気量が2,000㏄級以上2,500㏄未満のものにあっては、最高出力135kW以上であること」と追加されました。

交通取締用四輪車

平 成31年1月8日改定 排気量 は、3,000㏄級以上であること。
令和 3年1月6日改定 排気量は、3,000㏄級以上であること。ただし、排気量が2,000㏄級以上3,000㏄級未満のものにあっては、最高出力150kW以上であること。

こちらも、但し書きで「排気量が2,000㏄級以上3,000㏄級未満のものにあっては、最高出力150kW以上であること」と追加されました。しかも大幅な排気量のサイズダウンです。

仕様書が意味するところ

官庁の入札にあっては、仕様書の内容に合致したものでなければなりません。したがって、仕様書が「2,500㏄以上」と定めてたら2,500㏄以上の車を納入しなければならず、それを下回ることは許されません。

今回、改定で2,000㏄以上と緩和されたことにより、先ほどの市販車の表を見ていただくと、2.0Lターボガソリン車が納入可能になったわけです。

しかも、交通取締用四輪車も2,000㏄以上と大幅に緩和され、最高出力が150kW以上、先ほどの市販車の表の2.0Lターボガソリン車の最高出力は180kWと優に仕様書を満足させることができるのです。

その他に実は、無線警ら車は2WDと4WDの2種類が必要で、4WDは山間部や降雪地域に配属されます。2WDの地域に4WDが入ったレガシィパトカーの実績があ ますが、4WDの仕様書には4WD車が必須です。

先ほどの市販車の表を見ていただくと実は、2.0Lターボガソリン車に4WDが無いんです。そこで、今回、4WDがハイブリッドになりました。

製作図面承認申請書

製作図面承認申請書とは、メーカーが警察庁に提出する納入する車のスペック等が記載されているものです。

トヨタレスキューにより無線警ら車の2WDはターボガソリン車で、4WDがハイブリッド車であることが判明していましたが、交通取締用四輪車が明らかになっていませんでした。

今回、製作図面承認申請書により交通取締用四輪車は無線警ら車2WDと同様にターボガソリン車であることが判明しました。

交通取締用四輪車については、3.5Lハイブリッドという可能性もあったのですが、前記の仕様書がガソリン車が良いという点を前面に出していたのでターボガソリン車になったのでしょう。

ただし、後述するようにターボガソリン車は、意外に加速が悪いので、来年度以降はどうなるかは分かりません。

各車両の諸元表

無線警ら車 2WD 2.0ターボガソリン車
3BA-ARS220-AEZYZ
諸元 ベース車両
寸法 全長(mm) 4,910
全幅(mm) 1,800
全高(mm) 1,805
ホイールベース(mm) 2,920
トレッド前(mm) 1,560
トレッド後(mm) 1,560
最低地上高(mm) 135
重量 車両重量(kg) 1,740
乗車定員(人) 5
車両総重量(kg) 2,015
機関 エンジン種類 直列4気筒
総排気量(L) 1.998
使用燃料 無鉛ガソリン
燃料タンク容量(L) 66
最高出力<ネット>
kW(PS)/r.p.m.
180(245)/5,200~5,800
最大トルク<ネット>
N・m(kg・m)/r.p.m.
350(35.7)/1,650~4,400
駆動 駆動方式 2WD
駆動輪 後輪
トランスミッション スーパーインテリジェント8速オートマチック
(8 Super ECT)
性能 最小回転半径(m) 5.3
減速機減速比 3.133
装備 バッテリーサイズ LN1-ISS
タイヤ(前) 215/60R 16タイヤ
タイヤ(後) 215/60R 16タイヤ
ホイールサイズ(前) 16×7Jアルミホイール
ホイールサイズ(後) 16×7Jアルミホイール

無線警ら車 4WD 2.5Lハイブリッド
6AA-AZSH21-AEXYB
諸元 ベース車両
寸法 全長(mm) 4,910
全幅(mm) 1,800
全高(mm) 1,815
ホイールベース(mm) 2,920
トレッド前(mm) 1,560
トレッド後(mm) 1,560
最低地上高(mm) 130
重量 車両重量(kg) 1,880
乗車定員(人) 5
車両総重量(kg) 2,155
機関 エンジン種類 直列4気筒
総排気量(L) 2.487
使用燃料 無鉛ガソリン
燃料タンク容量(L) 66
最高出力<ネット>
kW(PS)/r.p.m.
135(184)/6,000
最大トルク<ネット>
N・m(kg・m)/r.p.m.
221(22.5)/3,800~5,400
駆動 駆動方式 4WD
駆動輪 全輪
トランスミッション 電気式無段変速機
性能 最小回転半径(m) 5.7
減速機減速比 2.937
装備 バッテリーサイズ LN1-STD
タイヤ(前) 215/55R 17タイヤ
タイヤ(後) 215/55R 17タイヤ
ホイールサイズ(前) 17×7Jアルミホイール
ホイールサイズ(後) 17×7Jアルミホイール

交通取締用四輪車 2.0Lターボガソリン車
3BA-ARS220-AEZYZ(K)
諸元 ベース車両
寸法 全長(mm) 4,910
全幅(mm) 1,800
全高(mm) 1,805
ホイールベース(mm) 2,920
トレッド前(mm) 1,560
トレッド後(mm) 1,560
最低地上高(mm) 135
重量 車両重量(kg) 1,720(LED有1,730)
乗車定員(人) 5
車両総重量(kg) 1,995(LED有2,005)
機関 エンジン種類 直列4気筒
総排気量(L) 1.998
使用燃料 無鉛ガソリン
燃料タンク容量(L) 66
最高出力<ネット>
kW(PS)/r.p.m.
180(245)/5,200~5,800
最大トルク<ネット>
N・m(kg・m)/r.p.m.
350(35.7)/1,650~4,400
駆動 駆動方式 2WD
駆動輪 後輪
トランスミッション スーパーインテリジェント8速オートマチック
(8 Super ECT)
性能 最小回転半径(m) 5.3
減速機減速比 3.133
装備 バッテリーサイズ LN1-ISS
タイヤ(前) 215/60R 16タイヤ
タイヤ(後) 215/60R 16タイヤ
ホイールサイズ(前) 16×7Jアルミホイール
ホイールサイズ(後) 16×7Jアルミホイール

トランク容量問題

https://trafficnews.jp/post/108215/2》に「仕様書の改訂ならびに内部容積の測定方法を変えることでクリアしたようです」と記載がありますが、そのような仕様書の変更はありません。

平成31年1月7日改定
令和2年12月14日改定

無線警ら車で見る場合、210系クラウンパトカー時代の仕様書と今回の220系クラウンパトカーの仕様書で見る場合、どちらもトランク積載容量は450Lです。

ここで何が問題になったかというと市販車のクラウンの積載容量が2.0Lターボガソリン車の場合、431Lで仕様書の450Lを満たしていないという点でした。

前にも説明した通り、官庁の入札に当たっては仕様書の基準を満たすことは絶対条件です。

しかし、この431Lという積載容量の問題は、VDA法という1Lの箱をトランクに詰めて測定する方法で、この方法によるとトランク内の複雑な形状内では隙間ができるのです。

つまりVDA法《クラウントランクVDA法による測定》によらなければ良いわけで仕様書にも算出方法は記載されていません。よってトランク内を密に詰めれば良いという方法がある訳です。

その方法の結果を求めるには3次元CADデータかトヨタのデータ開示がないと算出できませんが、契約後、警察庁とトヨタのやり取りの中でそうした問題は起きていないことを鑑みると、密に詰める方法でクリアしたのではないかと思われます。

外観

従前は、警察マークは市販車のフロントグリルのクラウンのマークの所でしたが、今回は、ボンネット上になりました。

また、今回から一部の県警向けにトヨタ純正ドラレコの搭載が始まりました。なお警視庁や愛知県警は独自にドラレコを搭載しています。

前面の警光灯(フロント部分で光るやつ)はグリル内になりました。これは仕様書が変更され従来は「バンパーにつけなさい」という仕様だったのですが、今回から「車両全部の当庁の承認を受けた部分」に変更されました。


性能

レンタカーでターボガソリン車を借りて走行してきました。他の車が居るのでなかなかアクセル全開とは行かなかったですが、高速の合流のシーンはアクセル全開で、あの程度の加速しかないので高速での交通取締は厳しいでしょう。

YouTubeで観る

220系クラウンパトカーの値段

220系クラウンパトカー

今回、パトカーの単価は非開示でしたが、総額から(総額÷台数×税率)220系クラウンパトカー2WD(2.0ターボガソリン車)の1台あたりの値段は、税込みで4,125,963円でした。

旧210系パトカーノーマルモデルは税込み3,036,627円でしたので、価格が高騰しています。

220系クラウンパトカー

他方、2.5Lハイブリッド4WDの220系クラウンパトカーの値段は、税込み4,598,232万円でした。

こちらも210系クラウンパトカー(4WDノーマル)は税込み3,322,245円で高騰しています。

まめ知識

パトカーも車庫証明が必要ですが、警察なので車庫証明の費用は不要とのことでした。また車のナンバーを交付するときに支払う登録費用ですが、こちらは道路運送車両法の規定により国が購入する車両は登録費用が掛からないそうです。

自賠責等の保険はは入っていて費用を県が負担しているとのことでした。

資料

無線警ら車 2WD

無線警ら車 4WD

交通取締用四輪車(白黒)

ギャラリー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

220系クラウンパトカー

※この記事に記載の内容や写真は、無断転載等の著作権法に定められた以外の使用をされた場合は民事責任や刑事責任、もしくは、その両方の責任を課されることがあります。